『生きて来た土地のルーツを知る①』

 生まれた場所・住んだ場所・勤めた場所など、これまで生きて来た場所(土地)のルーツを知ることや地図上にしるして見ることで、見えてくることがあります。

私の場合、まず見えて来たキーワードは「水辺」と「龍神」でした。

生まれた場所は東京の板橋区清水町ですが、昔はこのあたり一帯の崖から清水が涌き出て泉をつくり「出井の泉」と呼ばれ、現在は暗渠化された出井川の水源となっていました。この付近にはこの他にも多くの湧水があり、紀元前5世紀には出井の泉や出井川の周辺で、人が住んでいた痕跡があるため、縄文時代には出井の泉はすでに水が湧いており、それが「清水町」の地名の由来ともなりました。
その後住んだ場所も常に川や池や湖など水辺の側でした。いくつか紹介すると、幼い頃に1年間だけ、父親の故郷の宮崎県西都市で暮らしていました。父の生家は神社をお護りする神官の家で、その神社は海から12kmも離れた内陸にあるのに古代から境内の一隅に枯れることなく塩水が湧く泉があり、人々は龍神の霊泉として信仰しており、かつてこの地を平安の歌人和泉式部が訪れ、病に倒れた時にこの泉の水で湯治をしたらしく、私も幼少期のこの時に龍神の洗礼を受けた様です。

それから東京に戻り、保育園は足立区の辰沼と言う所でしたが、伝承によれば昔この地に大きな沼があり、その形が龍に似ていたことから「辰沼」と呼ばれるようになった場所でした。

その後、川辺りの実家で暮らしました。

高校は杉並区和泉という場所でしたが「和泉」の地名の由来は「どんな日照りでも枯れることがなかった泉」があり、雨乞いを行なっていた場所でした。

私は、子供の頃から東京の水と空気が合わず、体調を崩して、自然療法の先生から「あなたは、東京が合わないのだね。身体が塩素で消毒された水や排気ガスで汚染された空気をなるべく取り入れない体質になっています。東京を離れて、水と空気のきれいな所にすぐに移住しなさい」と言われ、原始の水や酸素を求めて、まだ世界遺産になる前の屋久島や知床に通い、知床で知り合った人と結婚し、銘木で家具を作る夫の仕事の都合もあり、25歳の時に埼玉・名栗の山奥に引っ越しました。

暮らす事になった家の裏に洞窟があり、水が湧き、ワサビがたくさん生えていました。その湧き水を飲んでいたら、体調が戻ってきました。時々、家の中を「ビューー!」と強い風が吹き抜けて裏の洞窟に入って行きました。近くの湖のほとりに龍泉寺があり、その奥に「龍神淵」という古代から雨乞いの聖地があり、夫と「裏の洞窟には龍が住んでいて、人々が雨乞いをすると龍神淵に出向いているのでは?」と話してました。

その後、ご縁で秩父の今宮神社で1年間だけ巫女をやりました。その今宮神社の境内には龍神池と呼ばれる池があり、秩父の霊峰・武甲山からの伏流水が湧いていました。毎年、4月4日に秩父神社から大勢の神官たちが、大名行列の様に歩いて今宮神社まで出向き、秩父の霊水である今宮の龍神の泉の水を分ける「水分祭(みくまりさい)」を行い、その後「龍神祭」を行います。秩父神社の神官たちは、今宮神社から分けて頂いた龍神の水と藁の龍神秩父神社まで持ち帰り「御田植祭」を行います。神社境内の敷石を水田に見立てて苗代作りから種蒔き、田植え、収穫までの農耕儀礼を、田植歌を歌いながら行い、その年の秩父の豊穣を祈ります。
12月3日に行われる秩父夜祭の際、今宮神社からの藁の龍神は大真榊を立てる榊樽に巻き付けられ、神輿・笠鉾・屋台の行列と共にお旅所へ供奉することになっています。世界文化遺産にもなった秩父夜祭は「秩父の聖山・武甲山の伏流水が湧く今宮神社の龍神水のおかげで今年一年の秩父が豊作であった」と感謝をするお祭りでもあるのです。秩父で一番重要な神社は、八大龍王を奉った今宮神社なのです。

その後、埼玉・比企郡ときがわ町都幾川の水辺に移り住みました。比企郡は埼玉県内で一番多く古墳や遺跡のある地で、巨石文明の巨石もあり、伝承で都幾川を挟んで龍神山(現・弓立山)の頂上にある男根石の巨石・男鹿岩に雄の龍が住み、対岸の山にある女陰石の巨石・女鹿岩に雌の龍が住み、二匹の龍は一年に一度の七月七日の晩、麓の都幾川で逢うことができました。しかしある年の夏、大地が割れるような日照りが続き、雌の龍がいずことなく姿を消してしまったそうです。これを悲しんで雄の龍は大粒の涙を流し、雌の龍の後を追っていつの間にか姿が見えなくなりました。地元には七月七日には災いが降りかかるという言い伝えも残っており、その日は決して外に出なかったそうです。

そんな訳で、これまで導かれて暮らす所は、いつも水や龍神が関係していました。すべて、偶然ではなく必然だと思います。

生きて来た土地のルーツからもう一つわかって来たキーワードは「阿波」です。

長くなったので、次回の投稿でお伝えします。f:id:Rei-wa:20191204042838j:image