阿波の麻と藍の力

朝ドラ「らんまん」が先月で終わりました。

土佐(高知) 出身の日本の植物学者・牧野富太郎の人生をモデルにした物語で、草花をこよなく愛する主人公が、彼の一番の理解者である妻に支えられながら、夫婦の夢である『日本中の植物が載っている図鑑』を完成させるまでのお話しで、本当にいいドラマでした。

草花の絵を描く主人公の姿を見て、私の母の姿と重なりました。

私の母も富太郎さんの様に草花の絵を描く人で、東京の荒川の河川敷に生えている草花のスケッチをたくさん描いており、ドラマで草花の標本を作っていた様に、採集した草花を押し花にしたり、家には山野草の本や薬草の本がたくさんありました。

そんな母が描いた荒川河川敷の草花の絵が、当時の国の建設省(後の国土交通省)の方の目に留まり、声をかけられました。

東京の荒川と隅田川が合流する岩淵水門の横にある『荒川野草園』で国が、外来種の植物に押されて、絶滅の危機にある日本固有の在来種の植物を守るために、種を採取して在来種を増やし、河川敷の外来種を取り除き、在来種に植え替える活動をしており、母の描いてきた、河川敷の多くの植物スケッチが、とても重要な資料データになるから、国に協力してほしいと、母は60歳を過ぎてから、国土交通省の仕事を頼まれて、バスで荒川野草園に通い、パソコンの使い方を教えてもらい、自分が描いた草花のスケッチをパソコンに取り込み、植物の正式名称を打ち込み、荒川河川敷の野草のデータを作っていった。それだけではなく、国交省が発行している「ARA」という機関紙に、毎回母のスケッチが掲載され、植物の詳しい説明が紹介されたり、母の野草料理のコーナーページも出来て、野草を美味しくいただく野草料理や野草スイーツや野草茶などを母が作り、カメラマンが写真撮影をして、毎回掲載され、60代から70代半ばまで、国交省のお仕事で母は大活躍でした。

15年くらい前に私が大勢乗れる「水害のための防災船」を作るプロジェクトをやった時に隅田川を皆で作った木造船を50人で漕いで浅草の吾妻橋でゴールするイベントで、荒川と隅田川が合流する岩淵水門からスタートだったのだが、その場所に母が協力している『荒川野草園』があったので、野草園の職員の人達や国交省の人達が次々に「お母様に大変お世話になっております!」と私に挨拶をしに来たので、びっくりした覚えがある。皆さんが社交辞令で言っているのではなく、本心から話しているのを感じたので「70代でこんなに世の中の役に立つってすごいな…」と少し母を尊敬しました。

そんな母の影響で、私も子供の頃から山野草や薬草に興味が湧き、東京23区なので野山があるわけでもないけど、道端の草花を採集して、ドクダミやスギナをお茶にしたり、ヨモギを摘んでヨモギだんごを作ったり、春の七草を摘んで七草粥を食べたり、つくしを摘んではかまを取って佃煮にしたり…私は絵を描くよりも野草をお茶にしたり、美味しく食べる事の方に興味が湧き、研究し、東京を離れ、自然豊かな場所に移り住み、薬草カフェをやっていた時期もありました。今も徳島の山奥で暮らし、薬草茶を作っております。

写真は牧野富太郎先生にあやかって陶器に植物を絵付けしてみました。つゆ草・カラスウリ・シロツメ草…野草シリーズの陶器もあわたまで販売してみようかな。

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そんな私が20年以上前に「日本人にとって、衣食住で最も馴染みの深い植物はなんだろう?」とふと思い、調べてみるとそれは、『大麻(おおあさ)』である事がわかりました。

おお麻は縄文時代から衣食住に使われていた事は遺跡の発掘調査でも明らかで、日本人には、最も馴染みの深い重要な植物です。

日本神話にも「天日鷲命」がおお麻で祓い浄める場面が出てくる。その天日鷲命を祖としているのが阿波忌部で阿波国麻植郡(現 徳島県吉野川市美馬市)でまさに麻を植えていたので、麻植(おえ)という地名がついています。

ご縁あって私は徳島県の阿波麻植森林組合とお仕事をする機会をいただき、数年徳島に通い、その後移住しました。「麻」が私を阿波麻植に導いてくれました。

残念な事にその「麻植」も数年前の町村合併で「吉野川市」になってしまい、何とか元の麻植に戻せないかと思っているのだが…。

以前のブログに阿波麻植の麻と阿波忌部について詳しく書いているので、ぜひ読んでいただきたい。

https://rei-wa.hatenadiary.jp/entry/2020/10/12/145514

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その麻植で今回『日本麻フェスティバルin吉野川』が10月28日(土)・29日(日)9時〜16時から行われます!

第10回目の開催になる今回は、10年ぶりに阿波忌部の地・徳島県吉野川市(山川町)で開催されます。日本麻振興会主催の麻フェスは、毎年日本各地から多くの方にご来場いただき、楽しんでいただける2日間になっています。

この阿波麻植の地で、阿波忌部が古来より麻を植え、繊維をとり、麻糸に紡ぎ、麻布を織って来たとても重要な場所で、天皇即位の大嘗祭に必要な『麁服(あらたえ)』を織って、麻植の忌部山にある忌部神社から東京の皇居の新天皇の元までお届けする事業を担って来ました。この日本にとって、とても重要なこの地の歴史や平成・令和の麁服事業の展示・麻の伝統文化の展示や精麻や阿波の本藍染の作品販売など、関心のある方はぜひ、この機会に阿波麻植の地に足を運んでください(^_^)

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具体的な展示内容はこのチラシの裏側に書いてあります。吉野川市アメニティセンターは、ホールで28日10時から日本麻振興会の代表理事で栃木県の麻農家の大森由久さんと阿波忌部麁服保存会の代表理事の木村雅彦さんの講演会が開催され、29日10時からは伝統芸能の祭典として、楽器や舞が披露されます。

各展示スペースでは、日本各地から麻の伝統文化を護っている方々の展示や麻に関する作品や物品の展示販売が行われます。

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山川地域総合センターの方では、平成・令和の麁服事業の展示・映像の上映会や麻植や阿波忌部の歴史の展示と私が一番おすすめしたい展示は『徳島の麻と藍の手仕事〜アキヤマセイコ遺作展」です。

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12年前、仕事で関東から徳島に通っている時に徳島を代表する染め織りのアキヤマセイコ先生とご縁をいただき、毎月、先生の元に通わせていただきました。

故・アキヤマセイコ先生がなぜ偉大かと言うと、藍染は「ジャパンブルー」と言われていますが、実は「ジャパンレインボー」だって事を10年かけて研究したのです。

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この七色に輝く糸は全て藍染です。発酵や媒染の仕方で藍は七色出る事を10年かけて突き止めた。私は、これに衝撃を受けて、12年前、当時はまだ埼玉に住んでいましたが、毎月徳島に通い、アキヤマ先生のお宅に泊めてもらって、しばらく染めや織りを習っていました。よそ者の私を先生は快く受け入れてくださり、この七色の藍染のレシピを惜しみなく教えてくださりました。今回の麻フェスのアキヤマセイコ遺作展にこの七色の藍は、飾られます。

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この麻文様の藍染は、10年前の麻フェスに出すために故アキヤマセイコ先生に型染めを教わり、麻文様の型を作って初めて染めたものです。

おお麻と発酵藍の組み合わせは「着る薬」と言われるぐらい身体を守ってくれる徳島の大切な文化です。おお麻と藍の微生物の力が、紫外線を通さず、電磁波・放射線などからも内臓を守ってくれます。

真に「着る薬」なのです。

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今回もおお麻(ヘンプ100%)の服を阿波藍のすくもで本藍染しました。 あわたまでは、おしゃれ着というより「身体を有害な物から守る服」として、毎回販売しております。

28(土)29(日)の山川アメニティセンターの

「日本麻フェスティバル」であわたまも毎回「阿波麻植スタイルの衣食住」というタイトルで販売します!10年前、徳島県での麻フェス初参加以来、今回で6回目の参加です。

今回は、開催地の実行委員として運営にも携わり、とにかくやる事がたくさんあり、あわたまの製品づくりは夜中にやっておりました。出店依頼から展示の構成や各作家との打ち合わせ、チラシ・ポスターの配布、宿泊の手配、キッチンカーの方々とのメニューの打ち合わせなど幅広く携わり、がんばりました。

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吉野川市アメニティセンターの入り口付近は「地元産お土産品の販売」で

①和菓子処 西川さんのあらたえの郷・阿波だよりなど阿波忌部の麁服にちなんだお饅頭や徳島のすだちやさつまいもを使った和菓子

②阿波茶園さんの地元・美郷の山の頂上で天然水で無農薬栽培された安全な緑茶・発紅茶・ほうじ茶。

③モクモクノートさんの地元・美郷の山上で薪窯で焼くハード系自家製酵母パン。小麦ライ麦は、国産か有機のみを全粒粉や石臼挽きなどにこだわり、徳島県阿波市有機小麦をふんだんに使用。自家製酵母は、オーガニックレーズン中種法で、低温長時間一次発酵で手間をかけてていねいに育てています。麻フェスは種のパン(麻の実、ひまわりの種、かぼちゃの種、ゴマなど)を販売。

④麻心さんの麻の実食品(ヘンプナッツ・ヘンプオイル・ヘンプパウダー・パスタ・麻炭など)麻の実雑貨・コスメなど。

⑤あわたま「阿波麻植スタイルの衣食住」

【衣】おお麻100%布地に本藍染した服(インナー)のオーダーメイドやストールの販売。

精麻の紐のアクセサリーなど。

【食】地元・美郷と川島で無農薬栽培で育てたあわたま野菜と果実に麻の実(ヘンプナッツ)を入れた製品の販売。

【住】(生活品)麻植の土で焼いた麻文様シリーズの陶器などの販売。

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「ワークショップコーナー」は

① 麻のオガラヒンメリワークショップ(有料)

麻ころも・槙田八重子さん

麻幹(オガラ)を使って、正八面体を作成します。ヒンメリとは、フィンランドで始まった伝統的な装飾品で、主にライ麦の藁で作られていて、収穫したばかりの新しい藁には精霊が宿り、幸せを呼ぶと信じられていました。今回はオガラを使い、皆さんの麻(お)守りを作成します。子供さんもぜひご参加ください!

ワークショップ金額

1000円

物品販売…精麻アクセサリー、ヒンメリ、キーホルダ、注連縄など。

② 畳屋さんの畳ランチマットのワークショップ(有料)

ライフネット徳島・森島弘樹さん

鳴門の畳屋さん。畳の端材を使ってランチマットを作るワークショップをしています。今回、麻糸を使用して織り上げられた、い草の端材を再利用してワークショップを行います。

ぜひ、青畳の上品な香りを楽しみながら、自分だけのオリジナルなランチマットを手作りしてみませんか?

ワークショップ金額

畳ランチマット

A4サイズ、500円

A3サイズ、1000円

畳コースター300円

物品販売…畳コースター・畳ランチマット・八角形畳マット

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その他、私が依頼した作家の展示は

アメニティ1階ロビー「作品展示販売」

① 渋小屋(徳島県)

アキヤマセイコ先生のお弟子さんグループ。

藍染と織物作品展示販売

② 布弥・真 和子さん(大阪府)

自作の麻画材(麻墨・麻クレヨン)などを使って描いた絵画・麻テーマ絵本・精麻飾りを展示販売。

③ 吉川実穂さん(香川県豊島)

故郷の福島県会津で苧麻織を学び、草木染した苧麻織の帯やタペストリー・麻ふんどし・麻フンティなどを展示販売。

アメニティ2階エントランスロビー

「作品展示販売」

①〜忌部と海部の繋ぐモノ語り〜

in Between Blues

代表 永原レキさん(徳島県)

阿波藍×麻×阿波和紙×久留米絣

徳島海陽町の若手藍染作家の永原レキさんと地元山川町の阿波和紙会館・中島茂之さんと東京オリンピックのエンブレムの組市松紋をデザインした野老朝雄さんとのコラボ作品の展示も見られます。

②ATELIER nue  宮坂絹枝さん

阿波忌部がその昔、黒潮に乗って船で関東に上陸したとされるゆかりの地・千葉の安房(あわ)から麻フェスに初参加されます。

大麻布の麻ころも

大麻布のヘッドドレス

大麻絹手紡ぎ手織り布の美肌ころも

ヘンプのシーツ

ヘンプのピローケース

③あとりえ樹庵 大西政己さん

『 麻と祈りと守りの形 』

元徳島県小松島市であとりえをやるアーティスト。絵(麻布)・御守り・精麻作品の展示販売。

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今回は、キッチンカーも9店舗出店し、徳島の食材と栄養価の高い麻の実のナッツやヘンプミルクやパウダーや麻炭などを使った料理がたくさんでます!徳島でしか食べられないこだわりのメニューになっておりますので、ご来場の方はぜひキッチンカーにもお立ち寄りください♪美味しいですよ!

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今回キッチンカーとのコラボで栃木県の野州麻紙工房がプロデュースした「麻紙の器」でオーガニックコーヒーと麻の実入りの薬膳カレーを1日限定100食分用意して販売し、使った麻紙の器は回収して、堆肥にするという取り組みをやりますので、関心のある方は、限定100食にご参加ください。

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当日は麻フェス無料巡回バスが走ります。

コースは、麻フェス会場(吉野川市アメニティセンター・山川地域総合センター)→阿波和紙会館・いんべアートスペース→忌部神社からまた同じコースを戻ってきます。(写真のバスが走ります)阿波和紙会館では、様々な展示や旧・川田小学校で織物のワークショップや織物・染め物・つる細工などの展示販売もあります!

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忌部山にある山崎忌部神社は、平成・令和の天皇即位の麁服が出発した場所で、阿波忌部の重要な神社です。今回、麻フェス期間中の特別販売で、阿波忌部の方が作った「祓い精麻(はらいせいま)」と天日鷲命のキャラクターステッカーとクリアファイルを販売いたします。ぜひ麻フェス無料巡回バスに乗って、とても重要な忌部神社にお参りに行って、普段は購入出来ないレアな品々をご購入してみてください。

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盛りだくさんの麻フェスで見応えバッチリです。ぜひこの機会に徳島に見に来てください

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尚、駐車場は上記のマップの様に会場周辺に21ヵ所ありますが、当日は道も混在が予想されますので、お近くの方々は、お車を乗り合わせたり、会場はJR阿波山川駅から徒歩5分の所ですので、列車をご利用いただくなど、ご協力よろしくお願いいたします! 

では、会場で皆様のお越しをお待ちしております!