11月となると朝晩が肌寒くなり、秋を感じますね。
今年は暑さで夏野菜は枯れてしまう物がけっこうあったり、昨年に比べて梅・ビワ・スモモ・柿・柚子などの果実が実らなかったり、栗・すだち・ミョウカなどはいつもより収穫量がだいぶ少なかったり…実りの秋の収穫にいろいろ影響が出ています。単に裏年やハズレ年であるならいいのですが、毎年こうなったら大変ですね…。
今年は畑を広げて綿をたくさん栽培したので、今は綿摘みやマコモやぎんなんやキュウイなどまだ収穫は続きます。あわたま産のオーガニックコットンで製品作りが出来たらと思っております。
さてここ最近、アメリカで活躍する日本人が話題になっていますね。
一人は今年ドジャースに移籍して、大活躍の大谷翔平選手。昨年の9月に手術した腕で、投手はお休み中ですが、リハビリ中なのにあんなに打ちまくって大丈夫なのでしょうか…と思っていたら、ワールドシリーズで、反対側の腕を怪我しちゃいましたね…。
しかし、絵に描いた様なアメリカンドリームを本当に実現しちゃう人っているんですね…しかも日本人で。莫大な経済を動かして、彼を取り巻く人々はウハウハしていて、身近な人間に多額に使い込まれていても気づかないぐらい、当の本人は野球少年の様に夢を実現させる事に集中していて…。
写真のポパイの様なムキムキの右腕の手術の跡が少々痛々しいですが、打って走って、彼が子供の頃から目標にしていた世界一おめでとうございます🎉
夢を実現させたと言えば、もう一人は俳優の真田広之さん。米テレビ界のアカデミー賞といわれるエミー賞で、史上最多となる18部門を獲得した「SHOGUN 将軍」で主演や監督も務めた。
真田さんは大学の芸術学部の先輩で、時代劇の殺陣(たて)同志会というサークルのOBだったので、私が学生時代によく後輩の指導に来ていました。中庭で着流し姿で、時代劇さながらの殺陣をやっており、真田さんは、千葉真一さんのJAC(ジャパンアクションクラブ)出身で、アクション俳優のイメージが強かったので、時代劇の殺陣にとても力を入れている事に驚きましたが、熱心に取り組んでおられました。
20代からそれをやり続けた結果が、60代でハリウッドで本格時代劇を作り、世界的に評価されるという事に繋がったのだなぁと学生時代を思い出しておりました。
このお二人に共通する点は、若い頃に掲げた目標をブレずにやり続け、結果を出してゆくと言う点だと思います。継続は力なりですね。
大学の芸術学部は、映画・演劇・放送・写真・美術・音楽・文芸と学科があって、真田さんの映画学科や演劇学科に俳優は卒業・中退含め大勢いて、市川団十郎さん・竜雷太さん・高橋英樹さん・石橋蓮司さん・藤竜也さん・神田正輝さん・船越英一郎さん・笹野高史さん・森本レオさん・伊藤蘭さん・内藤剛志さん・西村和彦さん・田中哲司さん・大塚寧々さん・佐藤隆太さん・中村獅童さん・蒼井優さん最近の若手俳優だと池松壮亮さん・河合優実さんなどネットで調べただけでもまだまだたくさんの俳優さんがいて、他にも深作欣二さんなど多くの映画監督や三谷幸喜さん・宮藤官九郎さんなどの人気脚本家や篠山紀信さんなどの写真家や中井美穂さん・近藤サトさんなどのアナウンサーや林真理子さん・吉本ばななさんなどの作家や最近ではYOASOBIのボーカル幾田りらさんなど、数えきれないほどの業界人を輩出している。
そんな業界にたくさん先輩がいる事から、私も学生時代から、TBSの「SASUKE」の前身で一般人が様々なアトラクションに挑戦してゆく「風雲たけし城」の緑山スタジオのオープンセットの美術品を作るバイトをしており、大学卒業後は、テレビや様々なホールでの舞台美術デザインの仕事をしていた。
その芸術学部美術学科の恩師で、私の人生の道先案内人であり、私を徳島に導いてくれた、F先生がつい先日お亡くなりになった…82歳でした。先生とは40年の付き合いだった。
出会いは高校2年生の時。私は、美術学科と音楽学科がある東京の芸術系の高校に通っており、都内の美大から大学案内の説明会に来てくれて、絵画・彫刻・デザインの中から、自分の希望するコースの話しを聞く事が出来た。私は子供の頃から物を作る事が好きで、家具やインテリアや空間作りにとても興味があったので、空間デザインを希望したのですが、空間デザイン希望はクラスで私一人だけだったので、個人面談の様にお話しを聞きました。その時、お話ししてくれたのが、F先生でした。私は、その時直感で「この先生とは長い付き合いになる…」と感じました。
後から知ったのですが、先生は空海を尊敬しており、どこか修行僧の様で、霊感も強く、やはり直感的にいろいろ感じ取っていた様でした。
そのF先生は、日本の伝統工法の木造建築を専門とし、先生もやはり「ブレずにやり続ける人」で、生涯かけて日本にとってとても重要な仕事をされました。
F先生自身が大学生の時に「日本の宮大工の技師を途絶えさせないためにも、伝統工法の継ぎ手やほぞ組みの構造を図面に起こして記録に残したい。」と先生の恩師に伝えると「君は生涯かけてそれをやり遂げる覚悟はあるか?」と問われ「はい!やります!」と告げると、恩師の教授が若きF先生の覚悟を有識者の方々に伝え、研究費を集めてF先生の研究をサポートした。
F先生は、国宝・法隆寺専属の日本を代表する宮大工・西岡常一棟梁の法隆寺解体修理やNHKのプロジェクトXでも放送された薬師寺金堂・西棟再建などその卓抜した技量や豊富な知識を学び、複雑な継ぎ手・仕口を手書き図面におこし、記録を続けた。西岡棟梁没後も弟子の小川棟梁から学び、その後日本を代表する名棟梁8人の技術を記録し続けた。
私が大学生の時は、F先生は助教授でしたが、後に教授になり、私が舞台美術の張りぼての虚構の世界を辞めた時に、大学に呼んでくれて、空間デザイン研究室のアシスタントとして勤務してF先生の伝統工法の研究を間近で見させていただいてました。
その頃は、先生の恩師が集めてくれた研究費は底をつき、自分の給料を全部研究費に注ぎ込んで、退職金まで注ぎ込んで、20代から始めた研究は60代まで続き、40年間かけて、ついに日本宮大工技術全集を完成させたのでした。
『図解 木造建築伝統技法事典』
21世紀に活かす棟梁たちの技を3,000余点の詳細図により図解したわが国伝統の木造技法の集大成。
私は数年間、大学の研究室で先生の元で働いている期間に宮大工の父を持つ人と結婚をして、その宮大工のお父さんも法隆寺の西岡棟梁を尊敬していて、いつも伝統工法の話しをお父さんとしていました。F先生からは結婚祝いとして、宮大工が太い梁の表面を削る「槍(やり)かんな」をプレゼントされたが、私も夫も使いこなせず、護身用に部屋に飾ってあった…。
結婚を機に東京から埼玉の西部を代表する「西川材」の林業の地域に移住して、夫は銘木の家具や空間作りをする職人の弟子になり、私は大学の埼玉校舎に勤務して、工房で学生達に技術指導をしながら、建材から出る化学物質によるシックハウスアレルギーの研究をしており、大学のアシスタントを辞めた後、夫と家具作りの工房をやり、夫が亡くなった後、自然素材を使った衣食住の物作りの製品販売とオーガニックカフェのお店をやりながら、シックハウスに苦しむ人々の家を自然素材と薬草でリフォームする施工をやって、西川材森林組合や地元の伝統工法の棟梁とF先生や大学を繋げて、埼玉でいろいろな活動をしておりました。
F先生から結婚祝いにいただいた槍かんなは、 私が大学でアシスタントとして技術指導した学生が、卒業後に私が紹介した埼玉の伝統工法の棟梁に弟子入りし、修行を重ねて独立した時に、お祝いとしてプレゼントした。私が持っていても宝の持ち腐れなので、有効活用してもらった方が道具も喜ぶからだ。F先生も納得してくれた。
そんな時「日本人に最も馴染み深い素材はなんだろう?」と思い、調べたところそれは「おお麻」であり、古くから衣食住に使われてきており、徳島県の麻植(現・吉野川市)の阿波忌部が日本中に麻の栽培を伝えて行ったとわかった。阿波麻植や忌部の事を研究していたある日の事、F先生から「西川材森林組合や棟梁の所にお客さんをご案内するから。」とご連絡があり、私の所に3人のお客さんを連れて来た。「どちらから?」と聞くと「徳島県の阿波麻植森林組合です。」と言うので「私は今、阿波麻植や忌部の研究をしています!」と言って、資料を見せると「ああ、私達はここから来ました。F先生の木造建築の技法の本を見て、ぜひ先生の大学とコラボして阿波麻植森林組合の木材を使って、家具や建築を造るプロジェクトをしたいとご相談に来ました。」と言うではありませんか!先生は私が阿波麻植や忌部の研究をしていた事は全く知りません。「引き寄せで、阿波麻植からお迎えが来た!」と思いました。それが15年前。徳島県の助成金で数年間、大学と阿波麻植森林組合とのプロジェクトは続き、東京・埼玉と徳島を先生や学生達や徳島の皆さんは、行き来して家具や空間作りは続き、今私が暮らす吉野川市のあちこちに、その時に作られた物が使われております。
その後、東日本大震災を経て、私も徳島に毎月通い、麻だけでなく、植物の繊維の織物・薬草の知恵・藍染・紙漉き・石積み・焼き物など様々な技術が古代阿波から伝えられたとわかり、阿波麻植に移住し、いろいろ学ばせていただき、最初は古民家再生などやっておりましたが「身体に直接的に影響があるのは食べ物だ」と思い、阿波忌部の後藤田喜一さんとあわたまをやって10年目の昨年にF先生と久しぶりに電話でお話しをした時に「先生とのプロジェクトがきっかけで徳島に移住して、衣食住の製品作りをしている」と伝えると「衣食住も大切だけど、せっかく大学で建築を学んだのだからやったらどうだ…。」と言われ、それが先生との最後の会話になりました。
私は、大学卒業の時に芸術学部賞をいただき、先生は期待してくれていた様なのに、いくつかスカウトが来た建築事務所を断って、舞台美術に進み、その後大学の研究室に戻ってきて、埼玉で自然素材の空間造りをしていたと思ったら、徳島で無農薬野菜を作ったり、麻の服を藍染して販売したり、先生から見たらブレブレな生き方に見えたでしょうね…。
だけどテレビ局での強力電磁波や新築の家の建材の化学物質で身体を壊してしまった人をたくさん見てきて、 一度壊れた身体は、空間を自然素材で修繕するだけでは、元に戻らないと経験からわかり、衣食住を見直す事だと「あわたま」を始めました。
化学繊維の服・農薬や添加物まみれの食べ物・化学物質づけの建材で作った家…そんな暮らしを見直し、先人の知恵から学んで、今人々に必要な製品をつくる。
おお麻は、石油化学製品にかわる衣食住の製品を作る事ができる未来への希望なのです。
先生がお亡くなりになった連絡を大学の研究室のアシスタントから受けてから、最近まで、ずっと考えていたのですが、人生をかけて、自分の掲げた目標をブレずにやり続けたF先生の最後の言葉が頭に残り、私も50代後半になってゆくので、最後に自分が子供の頃から本当に造りたかった空間造りも少しずつでもやってゆきたいと思っております。
さて、今月の17日(日)に愛媛県伊予市で開催される「日本麻フォーラム」にあわたまも麻マルシェで出店します。おお麻100%の服やインナーや阿波麻植の土の麻文様シリーズの陶器や麻の実やオイルを使った製品などを販売いたします。大学の映画学科の先輩の吉岡敏朗監督の映画「麻てらす3」の上映もありますので、ぜひ見に来てください。
詳しくはこちらをご覧ください。
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陰陽の関係にある徳島(阿波)・埼玉(幸魂)の重要性を詳しく学びたい方のための個人ツアー「あわたまめぐり」も常時やっております。
これから秋が一番めぐるのに良い季節です。参加希望される方に合わせたコースやお話しをさせていただいてますので、これまで参加された方々から「参加して良かった!」と喜んでいただいています。
私が30年かけて知り得た、他では聞けない事などをお伝えしておりますので、地元の方々にも満足していただいております。ご都合の良い日を指定してお申し込みください。
「個人セッション」も随時受け付けております。詳しくはお問い合わせいただければと思います!